椿の実

令和の下北沢

 今日の一句 椿の実じっと我慢の子であった 浮浪雀

 毎年夏の終わりにつらい夢を見るのが恒例だ。今年は台風の影響で少し涼しくなった今朝のようだった。自分の居場所である理科準備室を出ると下の階に全体の職員室があった。職員室に自分の席は用意されているのか。そのことが知りたくて入っていくと、室内は雑然として倉庫のような感じである。そこに事務机があちこちに散らばっている。教員も、おそらく教員だろうが、渋谷の街路のように散らばって南米のあんちゃんたちのように群がってメンコとベーゴマをしている。これが職員室なのか。端に年配の太った小男がいる。この人だけ普段着ではなく工員の着る作業服を着ている。これが教頭だろう。私が自分の名前をいい、私の席はどこですか、と聞くとその小男は、人にモノを尋ねるときは言い方に気をつけるがいい。私はお前の全権利を掌握しているんだぞ、お前なんか私の胸先三寸でどうにでもなるんだ。という。話の内容に反してまったく説得力がない。私は、ちゃらんぽらんのように見えるが実は私は大変マジメな人間である。私の机はどこなんだ!と抗議すると、その教頭らしき小男はますます図に乗って、ふん、お前なんか、ふんふん、お前なんか、というばかりである。これはだめだな、らちがあかない。それに私はもう定年もとっくに過ぎている、首になってもなんら困ることがない、こんなヤツの相手をしても仕方がない。でも私の扱いに対して私は相当に怒っている自分に気がついた。職員室に群がってメンコベーゴマで遊んでいる教員どもにも愛想が尽きたし、教頭もあてにならない、こんなところにいてやるか、というところで目が覚めた。

 早稲田大学の万年落第生で8年目を迎えたところだったり、東大に3回目に入学して教務の職員に正体がばれないように時間割変更のことを訴えたりしているのが恒例の夢だったが、今回のはずいぶんと索漠としている印象だった。もう本当に自分の居場所がないことがはっきりしたという感じでそれも淡泊な事実として確認していた。

 なので、朝から別邸映画でアニメを2つ見たと思っているが、一つはもう忘れた。逃げ上手の若君、は相変わらず表現が面白い。でもそれは動きの表現ではなく、静止画の画質である。やはり日本のアニメなのだった。

 今日の三択。バーベキューの語源は? 串刺し・木製の台・酒場でクイズ ビリヤードのキューではなかった。料理の台のことだった。

 巡業公演。下北沢経由で行く。昭和の下北沢とはずいぶんと変わってしまった。2階のこじれた台湾そばの店で鶏そばライス付き。もちろん1000円は超える。タブレットで注文を入れ会計はレジでタッチパネルで済ますとレシートが出てくるセルフ方式。小田急線は下の下まで降りないとホームにたどり着かない。

 駅を降りるとgoogleマップ通りの景色を頼りに急な坂を上って現場に着く。今回は8人も豪華メンバーをそろえての公演である。客筋が大変よく、なんの困難もなく公演を終えた。しかし私は3つ忘れ物をした。一つは公演のネタで準備しなくては、と机の前で考えた記憶はあるのに、それを持ってこなかったことに現場で気がついた。そのネタはできなかったので、別ネタを思いついてやったら客は大変喜んでノっていた。2番目は手続き用のマイナンバーの番号を忘れた。カードの表の写真はスマホに入っているが、番号のところはなかった。これも連絡を受けたとき、持って行かなくては、と思ったことは覚えてている。そしていざ家を出たときにはすっかり忘れていた。もう心ここにあらず現象。そして、もうひとつが思い出せない。忘れたことが三つある、それを記録してやろうと思ったことは覚えているが、もうその時から思い出せない。マイナンバーのカード番号はスマホのショートメールで妻に連絡、すぐに返事が来て事なきを得た。

 帰りは来た道をあるいて下ったが雨脚が激しくなり小さな折りたたみ傘では濡れるのは避けられなかった。

帰宅後思いのほか疲れていて轟沈。